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アントニオ・R・ダマシオ『デカルトの誤り』

ポルトガルリスボン出身で、アメリカの行動神経学者である著者が、神経学に基づきながら、情動と理性との関係について論じた書。

彼の言葉を借りれば、この書では

意志決定障害と情動障害を有する神経疾患患者に対する私自身の研究にもとづき、情動は理性のループの中にあり、また情動は通常想定されているように推論のプロセスを必然的に阻害するものではなく、そのプロセスを助けることができるという仮説(ソマティック・マーカー仮説として知られている)を提唱した*1

 

デカルトの誤り』という書名の意味は、著者が序文で最後のお楽しみにしているのでネタバレになってしまうのだが、身体から心を切り離したことが今でも影響力のあるデカルトの誤りの一つということらしい。

 

「いつもイメージで考えている」*2という数学者マンデルブロなどの言葉を引きながら、「重要な点は、たぶんイメージはわれわれの思考の重要なコンテンツであること」*3を主張しているのが、個人的には興味深かった。

 

あとがきによれば、原書の第一版が出たのは1994年で、この本は新版を訳したものだが、内容的にはあまり変わっていないらしい。

 

内容はそれほど専門的な難しさはないが、なぜか私は目が滑ることがちょくちょくあった。まあ私に原因があるかも。

 

それと、ダマシオというよりはダマジオという方が正確らしい。

 

アントニオ・R・ダマシオ『デカルトの誤り』田中三彦訳、ちくま学芸文庫、2010年。

 

デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳 (ちくま学芸文庫)

デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳 (ちくま学芸文庫)

 

 

*1:アントニオ・R・ダマシオ『デカルトの誤り』田中三彦訳、ちくま学芸文庫、2010年、13頁。

*2:同書、177頁。

*3:同書、178頁。